(2020年6月のnoteから転記)
ぼんやりのんびりしているうちに5月が終わってしまった。家から出ない日々がひたすら続くなかで、ゴールデンウィークや昼間のビールの記憶が少し輝いているね。
始業前に10分程度のヨガをはじめた。むかし伸びていた場所が伸びなくなっているのがわかる。
5月に読んだ本(計10冊)
・都の子/江國香織
・ユービック/フィリップ・K・ディック
・スローターハウス5/カート・ヴォネガット・ジュニア
・スラップスティック―または、もう孤独じゃない!/カート・ヴォネガット
・職業としての小説家/村上春樹
・猫を棄てる 父親について語るとき/村上春樹
・みみずくは黄昏に飛びたつ: 川上未映子 訊く/村上春樹 語る/川上未映子、村上春樹
・流れよわが涙、と警官は言った/フィリップ・K・ディック
・美容は自尊心の筋トレ/長田杏奈
・だから私はメイクする/劇団雌猫
都の子 5月に入って急に初夏という感じになり、それで「カルピスが飲みたいね」という話をしていたら夫が貸してくれた。この本を書いた時の江國香織さんが29なのだそうで、同い年の彼女の少女らしさにめんくらう。 / ユービック バーナード嬢を読んでいたら久々にSFが読みたくてたまらなくなって。超能力者オールスターズ揃ってドンパチ始まるぜ!というところで急に梯子を外されて延々と落下していく、どこに着くかわからないまま落ちるんだけど、目まぐるしくかわる視界の面白さで一気に最後まで読んでしまう。はー。おもしろいなー。 / スローターハウス5 ヴォネガット。戦争を生き延びた男性の一生の話、とも説明できるけど、かれの”痙攣的時間旅行”の体験に引きずられてあちこちの時代を行き来する感覚がすごい。寒くて凍える雪の轍の中でまどろみ、戦後の姿を体験し、戻ってくる時の寒さが読んでいても刺さるようよ。”自分に変えられないものを、受け入れる平静な心をお与えください”。自分の人生が変えられないと受け入れる、って無理では???? / スラップスティック 続けてヴォネガット。なぜかジュニアが取れるんだよな。2人でいると爆発的な天才でいられる、という双子の片割れと若い時に引き離された老人の回顧録(と一旦言うことはできるんだけど)。現在時点では流行り病やら重力変動やらで人の居なくなった終末世界で孫とその恋人と暮らしている。愛していると言われると、愛しているって返さなきゃいけなくなるからいやなのよって双子の片割れが言ってた。 / 職業としての小説家 夫が「これを読むとやる気が出る」と言っていたので借りた。たしかに…。 / 猫を棄てる 村上春樹が父について語る。印象的な猫のエピソードに挟まれて、父とそのルーツ、避けては通れない戦争体験のことが書かれている。父親の戦争体験について、直接の聞き書きではなく、死後から資料をあたったりしているのでややドライな印象があるな。親子の確執があったようだから、それが適切な距離なのかもしれないと思わされる。 / みみずくは黄昏に飛びたつ 職業としての〜を読んで、村上春樹の作品については本人が語ることを参照すべきだなあと思ったので。川上さんの読み込みと、ちゃんと納得できるまで角度を変えて何度も掘り下げていく姿勢がすごい、これは愛のあるインタビューだな。フェミニズム目線の、「女性にセックスの相手や導く役割を負わせすぎなのでは?」というツッコミもちゃんとしている。あと、村上さん自身と作品とのあいだの距離の保ち方が独特。登場人物の名前とか行動とかも忘れてるし…。文章の上達が至上と何度も念押ししていて、ああこれはきっと本当にそうなんだなと思わされる。 / 流れよわが涙 実は読んだことがなかったんだよね〜めっちゃくちゃ面白くて一気に読んだ。フィリップ・K・ディックの、なんかわからん用語がどんどん出てくるがその世界の圧倒的な説得力と速度に飲み込まれてそのわからなさが読み進める上で何の障害にもならない、という体験めっちゃはまる。ハマりませんか?急に自分が存在しない世界にスリップしてしまった男の右往左往。元の世界ではスターであった男が、新しい世界でも自分の魅力を醒めた目線で把握し、それを使って何とかしようとする姿がなかなかどうして優雅。 / 美容は自尊心の筋トレ この自粛期間でやらなくなったこと第一位は化粧だよね〜と言う話を友人としていて、そのあとでこの本のことを知ったので読んでみた。自分の容姿の肯定の仕方、化粧は自由であること、やらないことを選択する自由だってある という話を説いてきてよかった。この人の関わったエトセトラブックスの本も読みたいな。 / だから私はメイクする 美容つながり。いろんな人の化粧する理由が書いてあって、オタク的な愛を化粧を施した自分の顔に注いでいたり、武装だったり、どれも読んでいて気持ちがいい。
5月に読んだ漫画(計19タイトル)
・カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生/渋谷直角
・バーナード嬢曰く。/施川ユウキ
・バクちゃん/増村 十七
・清少納言と申します/PEACH-PIT
・そうしそうあい/りべるむ
・薬屋のひとりごと/ねこクラゲ、日向夏、七緒一綺、しのとうこ
・甘木唯子のツノと愛/久野遥子
・マンガに、編集って必要ですか?/青木U平
・フリンジマン/青木U平
・Papa told me/榛野なな恵
・ボクらは魔法少年/福島鉄平
・さよならもいわずに/上野顕太郎
・DEATH NOTE/大場つぐみ、小畑健
・荒ぶる季節の乙女どもよ。/岡田麿里、絵本奈央
・薔薇だって書けるよ/売野機子
・数字であそぼ。/絹田村子
・少女終末旅行/つくみず
・動物のお医者さん/佐々木倫子
・君は放課後インソムニア/オジロマコト
カフェで〜 ウッ…え…?しんど… / バーナード嬢曰く。 積読本を読む前にこれも〜と思って読んだ。「読んでいない本を読んだことにする」ネタで行くのかと思ったら普通に主人公が読書の楽しみを覚えていくのでにこにこしてしまう。友達が本を勧めてくれるということの特別な嬉しさがつめこまれていて、それで名前は知ってるけど読んだことない本がこれに出てくると読みたくなってしまう。というわけでしばらくSFを読むことに。 / バクちゃん 他の星と地球との行き来が可能になった世界での、東京にきた移民”バクちゃん”の生活。いじわるな人が出てこないからこそ、システムの理不尽さというかひとでなしさというかが浮き彫りになるなあ。がんばれバクちゃん… / そうしそうあい ヤンキー×真面目さんというのは永遠にあるんだろうな…テンションも高すぎず、現実的な影のある恋愛が描かれてる / 薬屋のひとりごと 話題になってるねえと思いながら手をつけておらず、遅まきながら。スクエニ版で読んだ / 甘木唯子のツノと愛 ハアッこの人の漫画好き…もっと描いてほしい…失踪してしまった母親を刺し殺すためにツノをみがく妹とツノのない兄の表題作もいいし、ほかの短編もとてもいい、登場人物に対する「それで、どうしたい?」がすごくていねいな作者さん… / マンガに、編集って必要ですか? 漫画に救われる人間と漫画を描かずにいられない人間があわさって最強コンビ誕生と思いきや不運に見舞われまくる話で、面白いけどつらい 救われてくれ〜 / フリンジマン 左記作品中で漫画家の過去作として本人の漫画が出てきたので続けて読んだ。フリンジ-マンじゃなくて不倫自慢なのか…そして誰もいなくなった… / Papa told me 名作と聞いたので。人生何回目なんだという感じの小学生女子とその父親の父子家庭、それをとりまく優しい人たちが、それぞれ外で傷ついてもその優しさを失わなずにいられる幸運が描かれている。初期の方の服装がとってもおしゃれ。 / ボクらは魔法少年 街の平和を守るヒーローに誘われて快諾して変身したら美少女戦士の格好だった少年の葛藤と戦い、絵にやや抵抗ありつつも読み進めていくと本当にかわいいと思えてくる…。少年だろうが少女だろうが、自分が最高にいけてると思うことが力になるね。 / さよならもいわずに 先月読んだ、シングルファーザー〜の作中で人に勧めた描写があったので。急逝してしまった妻を弔う日々を描いていて、時折挟まれるシュルレアリスムな描写が苦しみをド直球に表現していて、もうずっと泣きながら読んだ 悲しみを整理するのではなく、そのまままるごと悲しみ続けるということ / DEATH NOTE 読んだのが高校生の時だったので、細かいところが思い出せないねと思って読み直し。字多いな〜。 / 荒ぶる季節の乙女どもよ。 文芸部の女子高生たちが、活動で読んだ純文学の文中に性行為の描写が頻出したのをきっかけとして、まわりの男子や教師を巻き込んではちゃめちゃに荒ぶる話。後書きに「処女コメディ」って書いてあっていいな〜と思った。 / 薔薇だって書けるよ 先月ルポルタージュを読んで面白かった話を友人にしたら、同じ作者さんのこれを勧められたので。表題作〜〜〜〜〜!!!! / 数字であそぼ。 京大(とおぼしき大学)に進学した、いままで全てを高すぎる暗記能力で乗り切ってきた主人公が「考える」大学数学につまずいてあがきまくる話。たのし〜。数学やりたい。あと、個人的には大学時代を過ごした京都左京区の描写がめちゃめちゃエモい。一乗寺のラーメン回たまんない… / 少女終末旅行 少女2人が文明と生命の死に絶えた地球を目的地目指して進む。どうして生き残ったのか、どうして地球に週末が訪れたのかがほぼ説明されず、それが静かでとってもいい。たまに出会う人工知能たちの人間味や切実さが、廃墟と雪だらけの背景に映えている。また読みたい。 / 動物のお医者さん 名作と聞くものの未読だったので。あ〜数字であそぼはこれが下敷きになっているのか…。チョビが愛おしすぎるし、ミケが関西弁なのもいいし…。大きな犬を抱きしめたい…。 / 君は放課後インソムニア すごい、こんな宝物みたいな漫画があるのか!!!めっちゃいい…。不眠に悩まされる高校生の男女が出会い、苦しかった夜が楽しみで輝く時間になってゆく話、はあ…。
5月に観た映画、ドラマ、展示(なし)
5月に遊んだゲーム(計1タイトル)
・INMOST/Chucklefish
INMOST ホラーゲームに入るのか?3人の登場自分物の物語を行ったり来たりして進む。日本語訳がかなり微妙なので英語でやるべきだったかも。普通に怖くてドキドキする。あと少女パートで心がえぐられる…。しかしこのドット絵と光の表現が組み合わさる感じ、すごく幻想的でいいな…
たくさん本を読みたいな。保育園児の頃から変わってないの、名前とたくさん本を読みたいなという気持ちだけだよ…。