引き継ぎが!おわりつつ!ある!!!!YEAH!!!!!!!嬉しいね!!!
仕事はどんどん手を離れていくのに全然4月からの学校についての準備がなく、ほんとうに進学するのだろうか…?という気持ちで過ごした。
2月に読んだ本(計8冊)
・推し、燃ゆ/宇佐見りん
・庭/小山田浩子
・山の家のイタリアン/相場正一郎
・30日のパスタ/相場正一郎
・アジアごはん紀行/向山昌子
・料理の意味とその手立て/ウー・ウェン
・パチンコ(上下巻)/ミン・ジン・リー
・LAフード・ダイアリー/三浦哲哉
推し、燃ゆ 受賞しましたね。最近”推しがいる”という状態が我が身のこととなったので気になっていたのですが、まんまと賞をきっかけに読みました。”推し”に対して、恋愛感情を抱くのではなく、とことん観察して、読み解いて、解釈をして、理解したい……という愛し方をする主人公が、”推し”が女性を殴ったかどで炎上するのをただなすすべなく見つめる、というのが話の筋なのですが、”推し”と自分の間にある茫漠とした距離のままならなさ、”推し”を実際に支えることができないもどかしさ、そして生活や家庭の圧倒的な手につかなさが渾然一体となって雪崩れていくので、ものすごい勢いで読めてしまうし、気づいた時には主人公と一緒に呆然としてしまっている自分に気づく。推しの気持ちを慮っては情緒が振り回されてしまうタイプの推し方をしている人には勧められない小説……。
庭 小山田浩子さんの小説、これで単行本化されてるものはすべて読めたかな。庭が一番最新のものまで含まれているのかな、工場や穴で、「気付いたら立っている場所の座標がずれている」と思わせるような文の人なんだなあ、わたしこういう小説だいすき、と思っていたら、庭の後半では「どんどん別の世界に連れて行く」というような、なんていうんだろ、置き去りにされるというよりは、目まぐるしく背景の変わるなかをどんどん走っているような、というか…そういうおもしろさの短編が続いて、なんだか新しかった。
山の家のイタリアン LIFEのオーナーシェフのエッセイ。先月、30日のイタリアンを読んでたくさんパスタをメモした。タイトル通り、山にすてきな家を持っていて、週末はそこで過ごすという二拠点生活を送っている。今のお店を持つまでの経緯から山の家を買うことになった自分の来し方、東京の家との往復生活を成り立たせるために心を割いていることなどが綴られていておもしろい。山の家が本当に気持ちよさそう。
30日のパスタ というわけで、パスタの本も。賄いに作るという目線が含まれているので、とにかく短い時間でできるものからはじまって、少し下準備に時間のかかるレシピまで。突飛なものはないけれど、組み合わせの妙になるほど……となる。いくつか作ってみたいな。あとお店にもいきたい。
アジアごはん紀行 旅行に行けなさがもどかしくて紀行文を読む。ヨーロッパ方面は多少工夫すれば食卓の上で気分を味わうことができなくもないけど、アジアは難しくないですか。東京で〇〇料理レストランに言っても味わえない土埃、湿度、コーラの冷たさ、必ずしも清潔でないことによって、かえって立ち上がる圧倒的な食味の鮮やかさ、そういったものを一片を想像することができるのが楽しかった。
料理の意味とその手立て ウー・ウェンさんの本はいいですよね。好きなパティシエの人が読んでるのを見て買いました。北京小麦粉料理とかも名著ですけど、なんていうのかこの本については圧倒的に削ぎ落とされて凛としててめちゃくちゃかっこいいです。中華とはいえ普段の食卓の中華なので、読んでても胃もたれしません。あと、小手先のテクニックではなくて、考え方自体を教えてくれるので(たとえば青菜炒めを水っぽくしない方法だとか)、ほかの食材への応用がものすごくスムーズ。ギークのための料理書みたいな本ありましたが、あれの優しい版ですかね。料理に苦手意識持ってる人に料理本のお勧めを聞かれたら渡したい一冊。
パチンコ いつか読まねば…と思ってずっとちらちら視線を送っていたパチンコ(だって上下巻ある!)、なんとなーく最初の数ページだけでも……と思って開いたら語りのうまさと面白さに引き込まれて結局平日の3日間くらいで上下読んでしまった。面白いよー!!!長編読むとすごく元気になるね、読書大好き!!!!みたいな物質が脳からバンバン出るのを感じる。内容はもう帯がネタバレしてるのですが、主人公は韓国人の女性、地元で未婚のまま身篭るもその相手とは結婚することができず、志ある牧師さんの結婚の申し出を受けて一緒に大阪に渡る。そこからの3代の人生が綴られるのだけど、すごいんですよ、すべての登場人物にくまなく目をやり、かつベタベタしすぎない。重要な時期が書き飛ばされるが、その余波がすみずみまで行き渡ることによって書かれなかったことの(文章の上での)よさが発揮されている。これはすごく読むのが楽しい小説…。
同時に、日本や韓国で、例えば祖母の代からこの屋台をやってるよと言うような人々が言う時の、その、続けてきたこと自体の壮絶さについて、いままで全く思い及んでいなかったことに気付くようにもなる。Youtubeで、韓国の市場で食べ歩き!みたいな動画を見ていても、その凄さにため息をついてしまうね。
LAフード・ダイアリー 「食べたくなる本」の三浦哲哉先生が、サバティカルで一年間LAに滞在し、現地の食と社会について群像に寄稿したエッセイが単行本になった!!ウオー!!(ファン)行を追いながらも、過去にとった食事のそれぞれにまつわる情報のかさなりを思い起こし、その時の体験をなぞり、これから食べるなにもかもが楽しみになる。旅行に行きたくなるかと思いきや、より自分の中の味覚の記憶にわけいるような気持ちになる。面白かった〜。日本の食文化は環境や季節に規定されるけど、LAの食文化は圧倒的移民の多さゆえに社会に規定される、というのを読んで「あ〜〜」って声出た。
「ついてすぐ、疲れすぎてコンビニの食べ物を買ったら不味かった」みたいな体験って、本当に起こるのに、それを書くことがこんなにも良さをうむのか…と思ったりもした。わたしもポルトガルへについてすぐ空港のレストランでパスタ食べたらありえないまずさで、だけどなにか爽快な、笑える気持ちになったんだよな。
2月に読んだ漫画(計3タイトル)
・やわ男とカタ子/長田亜弓
・31番目のお妃様/七輝翼、桃巴、山下ナナオ
・不思議な少年/山下和美
やわ男とカタ子 今月ほとんど広告で流れてきた漫画しか読んでない。大丈夫か。背の高さ、骨格の硬さ、声の低さ、顔の作り、性格…ととにかく自分の「女らしくなさ」を数え上げては自虐的になってしまう女性がイケメンの「オネエ(作中表現)」の手によって自己肯定感を上げる練習をしていくも、そのオネエと恋に落ちてしまい……というとにかくむずがゆ漫画。自己肯定感が低いが故に人に優しくできないという悪循環が読んでて胸が痛いー
31番目のお妃様 これも広告や。ラノベの漫画化。ある国の王が妃を娶るのに、31人の候補者を揃えてその日にちの番号の妃と交流して選ぶ習慣があって、その「ハズレ番号」たる31番目に召し上げられた地方出身の娘さんが主人公。めったに王様のお越しがない代わり、その溌剌とした性格と家庭的な手腕で周囲の支持を獲得していき…という、なんだ、人間力とか地道なスキルで階級的な格差をかるがる踏み越える、みたいな話
不思議な少年 山下和美さんのランドが好きなので、過去作のこちらも読んでみたかった。天使のような不思議な少年が地球上の歴史のあらゆる地点に舞い降りては、人間の心の善さを信じたり諦めたりしながら人の営みを眺めたり、時に介入したりする。ほとんど2話ほどでひとつのエピソードが終わるんだけど、大切に読みたい気持ちと一気に読みたい気持ちが戦って結局一気読みした。
2月に観た映画(計タイトル)
・勝手にしやがれ/ジャン=リュック・ゴダール
・コラテラル/マイケル・マン
・ワイルド・スピード/ロブ・コーエン
勝手にしやがれ とにかくおしゃれなゴダールおじちゃん。観てるあいだ、隣で夫が爆睡してて、「ゴダールは寝るための映画」と豪語してた。そんなことあるかい。車を盗んだり人を殺したりは煙草を吸うのと変わらない軽さでやってのけるのに、惚れた女と寝るためには信じられないくらい食い下がってとにかくうだうだ言う落差がめちゃくちゃ面白い。
コラテラル トム・クルーズが正義側じゃない時怖すぎる。絶対敵にまわしたくない。
ワイルド・スピード スピードこそ力、力こそパワー!!!!!という感じでとにかくアホだった。
おわり!
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